朝日新聞と読売新聞の報じ方が全く違う。
昨日行われた有識者会議について、朝日新聞では、
「特例法を軸に今の天皇陛下に限って退位を可能とするよう
政府に求める方針を固めた」と報じている。
一方の読売新聞では
「退位 条件付き容認論」という見出しで、
退位について容認と反対のコメントをそれぞれ紹介し、
こう結んでいる。
御厨貴・座長代理は会合後の記者会見で
「それぞれの意見のメリット、デメリットを洗い出し、
議論を深めていく」と強調した
え。
方針を固めたの?
これからさらに議論を深めていくの?
どっちなの?
もし朝日のいうように、「特例法を軸に」という方針が
決まっているなら、読売は見出しにそのニュアンスをちょっと
入れただけで、結局はなーーんにも報じていないことになる。
あとの記事の内容は、ヒアリングの結果をそれぞれ確認し合ったことしか
述べていない。
ついでに、先日紹介したコラムの続きである
「揺れる退位(2)」も掲載されていた。
「象徴としての公的行為をどこまで削減できるか」が
論点となっていて、ヒアリングの結果をつらつら紹介するだけ。
もーーーいいよ!
議論が錯綜するなら、原点に戻ってほしいよ。
陛下はこうおっしゃっています。
「天皇の高齢化に伴う対処の仕方が、国事行為や、
その象徴としての行為を限りなく縮小していくことには
無理があろうと思われます」
つまり象徴として自ら重要だと思われることを
陛下はその信念にしたがって続けてこられたわけで、
高森先生の言葉を借りれば、それは
「陛下の強烈な主体性と厳粛な使命感、責任感」なのだ。
それを必要ないとか何とかいうやつは、我が身の傲慢さを思い知れ!
読売新聞のこのお茶を濁したような記事は、
生前退位をめぐる問題について何もわかっていないか、
あるいはわかっていて、ある特定の層の反発をそらすために
本当のことを書かないか、どちらかだ。
どちらにしても悪質。
一方、朝日新聞では、こう報じている。
退位を恒久的な制度とするため皇室典範の本格的な改正に手をつければ、
論点が女性宮家の創設や女性・女系天皇の問題にも波及しかねず、
法整備に数年を要する可能性がある。
天皇陛下が82歳と高齢であることも踏まえ、有識者会議は
今の天皇に限る特例法が望ましいと判断した。
まったく本末転倒、
「象徴天皇の務めが常に途切れることなく、
安定的に続いていくことをひとえに念じ」ている陛下の思いを、
陛下の年齢を理由に無視しようというのだから、
どういう思考回路、精神構造をしているのか。
結局、御厨氏は当初述べていた「特別法で対処するしかない」という
考えを変えていない。
いや、安倍政権はそういう人物だから座長代理で
実質的な指揮をとらせたのだろう。
「結論ありき」の茶番。